介護コラム

毎日新聞のWebサイト「介護福祉.com」で掲載した『毎日介護コラム』全9回

人生を素敵に生きるために~介護問題をどう考えますか?~

第9回 「自分の老いをプロデュースする!」

高齢化社会を迎え、日本は世界で一番の長寿国となりました。ここで忘れてはいけないのは、今は人ごとのように思っていても、いずれは自分も高齢者の仲間入りをするということです。まだまだ先の話のような気持ちで過ごしている、あっという間に年をとって、身体が言うこときかなくなった時に「あ~しまった!」ということになりかねません。

私は現在50代ですが、15年から20年先の自分がどう生きていたいかという自分なりのビジョンを持って、日々その夢を実現するために出来ることから実践しています。いくつまで生きられるかは分かりませんが、年をとっても元気で楽しい毎日が送れるようにするためには自分で自分の老いをプロデュースしなければいけないと思っています。

私は結婚当初から主人の母である姑のバアバとかれこれ30年一緒に暮らしています。嫁姑戦争などもありましたたが、バアバと一緒に暮らしてきたことにより「老い」について身近にお手本を見せてもらいました。年々老いていくバアバを見ることで「70歳の頃はまだ元気で家のことしていたなぁ」「80歳の時は身体がきつくなったことであんなに怒りっぽかったんだなぁ」とか「90歳の今は足腰は大夫弱ったけれど、長生きするために自分なりにいろいろ考えて生活しているなぁ」と自分がその年になった時どうなるのかをバアバを通して理解し、自分の老いについて考えられるようになりました。

「年をとるとこういう風に身体がきつくなるんだから、60歳までにはこうして、70歳になったらああして」と自分なりにその年齢までにしかやれないことや、やっておかなければいけない課題を明確にすることも出来ました。バアバと暮らしているおかげで介護についてもとても身近に考えさせられ、そしてまた、自分がいずれ老いるときの心構えも出来ました。私なりに「老い」についてどう考えているかと言うと、老いは必ず誰にでも等しく訪れるもので、また避けることも出来ません。ならばおもいっきり老いを楽しもうと。

身体が若い頃のように動かなくなっても出来る楽しみを見つけ、人生を重ねたことで感じられる侘び寂びの世界を堪能し、人生の最後まで老いと上手につき合いそして、楽しむためには自分で老いをプロデュースする必要があります。じっと待っていても何も楽しいことは向こうからやって来てはくれません。自分でアンテナを張り巡らせ、自分から行動し、楽しいことを作るようにします。また、老後一緒に楽しむ友人達を作り、楽しいことをみんなでやれば、何倍も楽しい老後が過ごせることでしょう。

何十年か後、私たちがおじいさん、おばあさんになる頃は、元気でそして「老い」を楽しんでいるお年寄りがいっぱいの「長寿国日本」にしたいですね。