介護コラム

毎日新聞のWebサイト「介護福祉.com」で掲載した『毎日介護コラム』全9回

人生を素敵に生きるために~介護問題をどう考えますか?~

第4回 「元気な老人の秘訣とは…」

老人の介護は、やはり「寝たきり」と「ボケ」が大きな問題だと思いますが、世の中には早くしてボケたり寝たきりになってしまう人もいるかと思えば、お亡くなりなりましたが、かの「きんさんぎんさん」のように百歳を過ぎても元気でいるお年寄りもいます。この差はいったいどこから来るのでしょう?

うちのバアバはもうすぐ90歳ですが、90とは思えないほど元気です。確かに多少耳が遠くなったり、以前に比べれば足腰は弱ってきていますが、ご飯はよく食べるし、とにかくよくしゃべる。特に一緒に住んでいる私の娘2人、バアバにとっては孫ですが、この孫のお友達が遊びに来ると、自分からその中に参加して 「ふーんそうなの。へー。ほー」と分かっているのかいないのか楽しそうにおしゃべりしています。

また、病院に行けば待合室で隣の人に「どうしましたか。どこが悪いんですか」と人なつっこく話しかけ、病院を出てきたときにはお友達になってしまうし、ご近所にもよく出かけて「なんとかさんちの新築の家の間取りだけど、1階はこうなってて、2階はこうで…」といろいろな情報をよく知ってること。

とにかく自分のまわりの事に常に興味を持っていて、人の輪に積極的に参加しています。実はこれがバアバの元気の秘訣その一なのです。年寄りだからって引っ込み思案にならず、自分からどんどん話に参加する。

バアバの元気の秘訣その二は、長生きしようという本人の意欲。まず食事。ご飯は毎日3食きちんと食べて、朝なんかご飯2膳ぺろっと食べてます。それから、私が5年前に乳ガンを煩ったこともあって、お友達からよく健康食品などを頂くと「ママ、これ何んだい。そうかい身体にいいもんなんだ。へー」となんだか自分で納得して、気がつくと知らない間にバアバが全部飲んだり食べたりしちゃうんです。

そして元気の秘訣その三は、おしゃれをすることです。年寄りだからって茶色やくすんだ色の服は着ません。昔私がお嫁に来た時に「近所の目なんか気にせず自分の着たい色の服を着なさい」と言ってからずっとおしゃれをするようになって、敬老会には萌葱色のワンピースに同じ色のヒールの靴を合わせてオレンジ色のハンドバック片手にお出かけします。後ろから見るとどこのお嬢さんかしらって感じです。アクササリーと言えば我が家で一番最初にピアスをしたのがバアバなんです。片耳に2個も穴があいてるんですよ。

おばあちゃんのボケ治療にお化粧療法というものがあると聞いたことがありますが、おしゃれをするということは、きっと生きるパワーを生み出すのでしょう。さて、このままでいくと老いてますます元気な我が家のバアバはいくつまで生きるのやら。