介護コラム

毎日新聞のWebサイト「介護福祉.com」で掲載した『毎日介護コラム』全9回

人生を素敵に生きるために~介護問題をどう考えますか?~

第7回 「寝たきりにならないためには…」

親が高齢のためいつ寝たきりになってしまうかと案じている人にとっても、また実際に寝たきりの親を介護なさっている方にとってもも、「寝たきり」という言葉は非常に重いものがあります。誰しも寝たきりにはなりたくありません。でも、不慮のケガや病気によって高齢の親が入院や自宅療養した場合に往々にして寝たきりになってしまう場合が少なくなうといわれています。

それでは「寝たきり」にさせないためにはどうすればよいのかということですが、ケガや病気の療養とともにその後に生活において家族がどのように接っしていくかということが、私は大切なポイントだと思っています。

先日、私の友人の80過ぎのお舅さんが病気で入院をしました。高齢の割には回復も早く、医者ももう大丈夫だから普通の生活にもどっていいということで自宅に連れて帰ったところ、元気がなく家にこもりきりになってしまいました。心配した家族は至れり尽くせりで接していたそうですが、一向に状態は良くならず、そのうえ呆け気味になったため、医者に相談したところ「病気も治り、肉体的には何の問題もないので、早く以前のように普通の生活をさせないと、身体も弱り呆けが進行してしまう可能性がある」と言われたそうです。

困った友人が私に相談してきたため、私はうちのバアバが寝たきりになりそうになった時の話をして、「とにかくお年寄りが動かなくると筋肉が衰え、ますます動けなくなって寝たきりになり、呆けることが多いそうだから、無理のない程度に散歩させて筋肉をつけるようにすることと、生きる希望や楽しみを本人が持てるようにしてあげることが大切じゃないかしら」と私なりのアドバイスをしました。

元気なお年寄りでも、大きな病気やケガをして入院などすると精神的にも不安になると同時に、どうしても筋肉が落ちてしまうため足腰が弱り、動くと疲れることもあり外に出かけたりすることがおっくうになりがちです。でもそのままにしておくと、ますます筋肉が衰えてしまい、転倒、骨折などして寝たきりになってしまう危険性があります。

うちのバアバも足腰が弱って動けなくなった時に頑張ってリハビリしたため、90歳の現在も元気に一人で出かけることが出来ます。寝たきりになったら介護する側ももちろんつらいですが、やはり一番つらいのはお年寄り本人です。寝たきりにさせないためには積極的に散歩などの運動をさせるとともに、精神的な不安を解消してあげるなど、家族みんなでのケアが大切だと思います。