介護コラム

毎日新聞のWebサイト「介護福祉.com」で掲載した『毎日介護コラム』全9回

人生を素敵に生きるために~介護問題をどう考えますか?~

第3回 「バカ嫁は舅・姑をボケから救う!」

我が家で嫁姑戦争が勃発した時に、私は「バカ嫁」と言われましたが、現在89歳になるバアバが寝たきりにならず元気でいられるのは、実はこのバカ嫁効果だと思うんです。というのは4年前にバアバが実の娘の家で1年間、上げ膳据え膳の生活をしていたために足腰が弱って歩けなくなり、危うく寝たきりになるところでした。我が家を出て行った時にはピンピンしていたのに…。そこで一言「お年寄りをあまり大事にしすぎるのは良くない!」

お年寄りだからといって、「あれは危ないからダメ」とか、「年寄りなんだからやめなさい」と言って炬燵でミカンを食べさせてばかりいたら足腰も弱って当然です。何よりも一家の中で自分の立場がちゃんとあって、まだまだ必要とされているという実感が無ければどんどん老け込み、そのうちにボケてしまうんです。「私だってまだまだ!」と言う自信とプライドを持たせてあげることが必要じゃないかと思います。

姑だったら一家に主婦は2人いらないではなく、糠味噌の漬け方やおせち料理の作り方など、主婦の大先輩としての出番を作ってあげることも大事だと思います。うちのバアバなんて、身体は以前のようにシャキシャキ動かなくなっても、口出すことはあい変わらず現役ですからね。そんなバアバも 「私はもう家のことは一切しないからね!」と宣言したにも関わらず、「バカ嫁のせいで、かわいい孫や息子にひもじい思いをさせてはなるものか」とばかり、私が仕事で家をあけている時は腕をふるって自慢の料理を作っているようです。

お年寄りの身体は使わないとどんどん衰えますから、何でも出来るうちはさせてあげた方が良いと思います。それでやってくれた時には「ありがとう!本当に助かるわ。」と感謝の言葉を忘れずに言うことが大事です。「自分が役に立っている」「頼りにされている」という喜びが、お年寄りの家庭での自分の確固たるポジションになるのです。

私のマネージャーの家では、なんと79歳のお舅さんが掃除や洗濯などの家事をやってくれているそうです。彼女が仕事が忙しくてなかなか家事が出来かった時にお舅さんが手伝ってくれたのを「お父さん、すごく上手!ありがとう~」と大感謝したところ、それから「今日はレンジ磨いといたよ」とか、「床のふき掃除したけどきれいになったでしょ」という具合に、どんどん家の中のことをやってくれるようになったそうです。

我が家ではバアバの足腰を鍛えさせるために郵便局の用事はバアバの役目と決めています。主人もあれこれと用事を頼み、バアバも万歩計をつけて毎日せっせと歩いています。それから朝のごみ出しもバアバの役目。「あたしがいないと朝のごみ出しが心配だよ」と言いながらもせっせとやってくれています。

私は「バアバ、本当に助かるわ~、明日もお願いね!」などと感謝してはどんどん出来ることをやってもらっています。本当に舅や姑を元気で長生きさせるためには、出来すぎた嫁よりもお願い上手のバカ嫁の方が良いんですよ。