介護コラム

毎日新聞のWebサイト「介護福祉.com」で掲載した『毎日介護コラム』全9回

人生を素敵に生きるために~介護問題をどう考えますか?~

第1回 「我が家の介護問題!?」

高齢化社会を迎えて、介護問題は私たち50代以上の主婦にとって本当に大きな課題と言えると思います。親は70代後半以上の人がほとんどで、今は元気でもいつ「介護」という事態が起こるかもしれないのが現状です。介護保険もいろいろと難しい問題があり、簡単にヘルパーの方を頼むことは出来そうにありません。すると必然的に私たち一家の主婦が介護を背負って立たなければいけないような状況に今の日本はあると思います。

我が家では89歳になる夫の母親で、通称「バアバ」と同居しています。嫁姑問題でいろいろドンパチありましたのでご存じの方も多いかと思いますが、あれから15年、バアバももうすぐ90歳を迎えます。パワフルばあちゃんのバアバも実は4年前に危うく寝たきりになるところでした。

実の娘の所に1年ほどいた時に、上げ膳据え膳で大事にされ過ぎて帰ってきた時には足腰が弱って自分で歩くこともままならない状態でした。家族中これは一大事とばかりに、バリヤフリーにしなければダメじゃないかとか、車椅子を用意しようとか、何でもやってあげるからねとか、それはもうバアバに至れり尽くせりにしようとしましたが、私が「待った!」をかけました。

家族みんなに一言「何でもかんでもやってあげることはバアバのためにならないのよ」。一同唖然!娘は「ママって鬼みたい!、バアバがかわいそう」。バアバはすごい顔して見ているし、きっと心の中で「この鬼嫁め」って思ってたかもしれないけど。そしてバアバに言いました「バアバ、歩けないぐらい足腰が痛いのはわかってるよ。でもリハビリだと思って自分で歩かないと、どんどん筋肉が衰えてますます歩けなくなって本当に寝たきりになっちゃうよ。筋肉は自分でないと作れない、私たちが買ってプレゼントしてあげることは出来ないのよ」。

バアバは目をまん丸にしてこの言葉を聞いていました。そして最後にだめ押しで「我が家は夏はダイビング、冬はスキーに出かけるけど、車椅子に乗ったバアバは一緒に連れては行かれないから、残念だけどお留守番しててね。もし一緒に行きたいなら頑張ってリハビリをしましょう」。するとバアバは「そりゃいかん!」と叫びました。翌日からは足を引きずりながらも家の中を必死に歩く努力を始め、プールでの水中歩行訓練もやり出しました。そのうち携帯電話を持たせて「歩けるところまで歩いてみて、もう歩けないと思ったら電話をしてね。すぐに車で迎えに行ってあげるからね」。

実際に何度も迎えに行きましたが、バアバ自身が一生懸命努力したおかげで、今ではピンピンして、一人でどこでも出かけるもとのパワフルばあちゃんに戻ることが出来ました。「馬に人参」作戦でバアバは復活出来ましたが、大事なことは家族全員で介護問題を考えるということだと思います。

おばあちゃんが寝たきりなったら一家の主婦が面倒を見るという図式では、主婦の負担が大きすぎます。また、私もそうですが仕事を持っている主婦が介護問題を一人で抱えたら、仕事も辞めなければいけない状況になってしまいます。介護問題は夫をはじめ家族みんなで向き合って行くことが大切なことだと思います。