マウイ・マラソン

ハワイのマウイ・マラソンにチャレンジしたのは、乳ガンの手術から4ヶ月目の平成10年3月15日。

きっかけはテレビ番組の企画でした。「マウイマラソンにはハンディキャップのある人たちも参加されているので、その人たちと同じスタートラインに立って、一緒に歩けるところまで歩くことで、生きる意味をみんなで考えたい」という番組の主旨に賛同し、フルマラソンなんてやったことはないけれど、ハワイに行って、とにかくスタートラインに立ってみようという思いでやることを決めました。

医者からは「マラソンなんかやって、疲労して抵抗力や免疫力が低下すると、隠れているかもしれないガン細胞が成長する可能性があるのでやめなさい」と当然反対されました。

確かに自分の身体にガン細胞が残っているのかどうかわからない。でもそのわからないことを考え、悩み心配し、ガンに遠慮しながら生きていくことがいやだったのと、「疲れて免疫力が低下することを気にしていたら、この先一生疲れることにおびえていなくてはいけない」と思い、目の前にあるこのマラソンにチャレンジしてみようと思いました。

レース中の苦しい道のりの中で痛みに負けそうになりながらも、「ここまで一緒に来たんだから、この先も一緒に歩いていこうよ」、そのような気持ちで夫婦の関係を見直すことが出来たこと。多くの人によって支えられて生きていることを実感出来たこと。そして、乳ガンという病気にはなったけれど病人にはならないぞと決意し、このマラソンレースに参加し完走できたことは一生忘れられない思い出になりました。


まだ夜明け前のAM3時半に
スタートラインに上岡
龍太郎氏も集合。

AM5時半にマラソンが
スタート。早朝の爽やか
な風の中を走る2人。

少し肌寒いものの、
この頃は笑顔を見せて
まだ余裕の表情。


元気だったのは最初の数㎞で
その後膝が痛み出し、右の
踝もズキズキとうずき出す。

マラソン中盤に
差掛る頃には、
両足の大腿部に
も激痛が。

立ち止まっては
ストレッチして
また歩くという
繰り返し。


足の痛みを除けば心は
ハイ・テンションで、
口からは自然に歌が。

夫婦で励まし合いながら
走っています。

気が付けば、
たった2人の
マラソンランナー


最後はどちらから
ともなく手を握り
合い、2人一緒に。

たくさんの人に支えられ、
感謝と感動を胸に、
8時間39分05秒でゴール。

夫婦2人の初のマラソン記録。


堪えてきた様々な想いが
堰を切ったように溢れ出て
夫の胸で号泣した。

マラソンを完走して、
上岡さんとの対談風景。

昨日の疲れも忘れて、
せっかくハワイに来たから
には大好きなダイビングへ。